1月31日、午後7時。俺は病院のベッドの上にいた。
鼻の穴には、酸素を送るゴムのチューブが伸びている。みっともないなぁ…。呼吸障害からくる『低酸素血症』…?なんだ、それ?
確かに風邪は長引いてたよ。昨日の夜ぐらいから息苦しかった。沖縄に入っても症状が変わらないから病院に来た。でも点滴を2、3本打って、回復して、すぐに会場に戻る予定だったのに。
ヤバい。もうあと30分でライブが始まっちゃう。急がないと。島人BABYSが待ってるから。たぶん、今ごろBGMで流れる『小さな恋のうた』で合唱してるんだ。モンパチさんの地元だし、ファイナルだから、大きな声で合唱してくれると思うんだ。それを俺は聞きたいんだよ。早く行かないと。
だけど、事務所の社長とイベンターさんが病院側と話し合った結果、今夜の沖縄公演は中止になった。
頭の中は真っ白。何も考えたくなかった。ただ天井にある変な模様一点を見つめていた。その変な模様は、馬の形に見えたり、鬼の目じりに見えたり。これは現実逃避なのか。
イベントの中止を決断した病院の一室は、やけに静かだった。聞こえるのは酸素を送る機械の音だけ。マスクのせいで、美人なのかどうかも分からない看護士が、淡々と俺の入院の手続きを始めた。
ちょっとだけ想像してみたよ。イベントの中止を発表したT兄貴の事と、朝早くから会場内の準備をしてくれてたスタッフさんの事を。戸惑ったモン吉やケミカルや工藤の事を。
そして、この日を待ち望んでくれてた全国のファンの事を。
きっと会場は騒然としたんだろう。メチャクチャ大変だったろう。それなのに俺は、鼻の穴にチューブを差し込まれて、車椅子に乗せられて…一体何をやってんだ?記念すべきツアーファイナルの日に、名も知らない病院のベッドの上で、俺は何をやってるんだ?悔しくて、情けなくて、恥ずかしくて、涙が止まらなくなった。ごめんなさい。ごめんなさい。
その後、メンバーやスタッフや関係者全員がお見舞いに来てくれたけど、申し訳なくて、まともに目を合わせる事が出来なかった。一言、二言、会話を交わすだけで、後はずっと天井の変な模様を見つめていた。
深夜。最後まで残ってくれてた社長と工藤も帰り、個室の部屋に一人ぼっち。別に寂しくはなかった。むしろ一人の方が気が楽になった。
相変わらずの鼻チューブ。血中の酸素濃度が上がるまでは鼻チューブ。鏡を見て、その滑稽な姿に笑った。
怖くて見れなかったファンモンの公式サイトを覗いてみた。ブログコメントやBBSの書き込みを見てまた泣いた。
あ〜、もう今日は寝よう。感情の浮き沈みが激しすぎる。なんだかんだ、疲れてるんだ。一晩ぐっすり寝て、明日になれば。そう、きっと明日になれば…
















